worker flexibility needed in Japan for globalization

在宅勤務は日本ではまだ新しい概念ですが、ヨーロッパでは10年以上にわたってオプションとして利用されてきました。

私は10年前にイギリスの富士通の社員でしたが、かなり頻繁に自宅で仕事をしていました。部署のメンバーが世界各地に散らばっていたため、ほとんどの会議が電話会議でした。ヨーロッパでは、在宅勤務はすでに働き方として定着しています。共働きで子供がいる人にとっては、ほかに現実的な方法が見つからないこともしばしばあります。

ロンドン中心部に住むのは高すぎるため、子持ちで職場がロンドンという人のほとんどは、日本さながら、混み合う電車で長距離通勤しています。この人たちは、新型コロナウイルスのワクチンが広く流通するまで、満員電車に乗るつもりはありません。

とはいえ、ヨーロッパでは、在宅勤務の受け止め方にジェネレーション・ギャップがあるため、企業はこれに対応しなければならないでしょう。若い独身世代は、「デジタル・ネイティブ」であるにもかかわらず、在宅勤務に大きなストレスを感じています。その一因は、孤独感です。若い独身者にとって、職場は社交の場としても重要です。また、信頼の問題もあります。年配の社員は、同僚との人間関係を確立していて、自分の能力にも自信があります。一方、若い社員は、自信がなく、同僚に自分の能力を証明するという点においても十分な歳月を経ていません。

さらには、在宅勤務の物理的な環境もあります。年配の社員は、比較的広い家に住んでいますが、ロンドンに住む若い人たちは、ルームメイトと家やアパートをシェアしています。プライベートな空間は狭いベッドルームで、共有空間はキッチンだけかもしれません。

これはもちろん、日本の都市生活者にも当てはまることです。1DKのアパートに住んでいれば、デスクを置く場所はなく、ドアを閉めて雑音や邪魔をシャットアウトすることもできないかもしれません。

でも、日本とヨーロッパには、ひとつ相違点があります。日本では、中年の人たちも在宅勤務にストレスを感じているという点です。特に管理職者は、仕事の成果物ではなく努力の量に基づいて部下を評価するのに慣れているうえ、報・連・相と以心伝心でコミュニケーションしてきました。このようなアプローチは、リモートな勤務形態には向きません。デジタル・トランスフォーメーションにおいては、情報通信技術の管理もさることながら、人の管理もカギを握っています。

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