ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング・ヨーロッパ代表・パニラ・ラドリン著
私の元同僚で、ロンドンに住んで7年の日本人男性が言っていたことを思い出すことがあります。日本のはっきりとした四季の移ろいが一番懐かしいと言うのです。もちろん英国にも四季はありますが、雨と低気温の続いた昨年の夏は異例だったと言えるでしょう。それから薄暗く湿っぽい秋、冬が延々と続いた上、20年ぶりの大雪に見舞われました。
ここ数日の好天気のおかげで、英国全体のムードもかなり明るくなってきたようで、水仙や色々な花々が至る所に咲いているのが見受けられます。私たちはこのような明るい季節が経済にもいい影響を与えてくれる事を切に望んでいますが、英国人は一般的に、仕事や生活において四季折々の変化にはさほど敏感ではないようです。
日本では待望の桜のお花見の季節が始りました。かつて私が日本に住んでいた頃は、日本人がいかに季節にあった食べ物にこだわるかを日々感じてたものでした。この季節に応じる“旬”の感性は、衣類にも当てはまります。私が以前ホームステイした家庭で一度、お父さんが紅葉柄のネクタイを身につけるのに、時期的に早い早くない、ともめた事があったのを思い出します。
日本の会社で働いていると、ビジネスの世界でもはっきりした季節感というのがあり、何となく年間を通したリズムがあることを感じます。ほとんどの日本の会社の会計年度は4月1日から3月31日となっていますが、英国においては、会社によってまちまちです。そのため英国では日本中のように、落ち着きのない、いわゆる3月病のようなものが全国に広がることもありません。そして月を越せば4月1日に行われる入社式や会社の人事異動、それに続く5月の連休、お盆休み、次年度予算作成など、季節の流れとともに起きる事柄は枚挙に暇がありません。ところが私達英国人は、“あれ、雨降ってるな、いや、降りそうなだけかな”とその変化が頭を掠めるだけで季節の移り変わりに余り関心を示さず、淡々と過ごしているのかも知れません。
とは言っても、英国人も毎年の春の訪れとともに取り組むことがあります。家の改装、庭仕事、そして大掃除です。春の日差しが差し込むようになると、家中の埃や傷みが目に付き、自分の家に誇りを持つイギリス人は、この季節には家の一新を強いられる気分になるようです。何せイギリス人にとっては“住まいは城”ですから。私たちは城をきれいにするためには明るい春の季節を利用するのです。その意味においては季節に無関心ではないのですが。。。。日本人が一年の締めくくりとしてする大掃除は春の陽光が輝くまで待つ、このことは私たちの季節感と言えるのかも知れません。
私たち夫婦も生活上の季節感という点では、典型的な英国人であることを認めざるを得ません。夫は家の玄関口を忙しくペンキ塗りしていますし、私は家中のガラス窓をぴかぴかに磨き上げ終わったところです。この週末にガーデンセンターに出かけましたが、あの混雑を見る限り不景気はいったい何処に?と思ってしまいました。
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このシリーズは人材紹介会社のセンターピープルのご協力の上提供させて頂いております。
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