15. 申し訳ありません【コラム:見る前に跳べ】

ポルトガル語から借用した言葉は、カルタ、テンプラ、タバコなどいろいろありますが、「ありがとう」の語源は一般的に誤解されているように、ポルトガル語の「オブリガード」ではありません。日本語の「ありがとう」の語源は、ポルトガルとの接触よりも1世紀以上も前に遡ります。漢字で書くと「有難う」、つまり「存在が希少である」となります。それは、一瞬の中に尊さを見つけるという仏の教えに結びついた感謝の表現です。

日常生活の中で私たちは「ありがとう」をあまり言いません。大抵の場合、「すみません」を代用しています。感謝を表現するのにどうして謝るのでしょうか?「すみません」は非常に便利な言葉です。「ありがとう」、「お願いします」、「ごめんなさい」のどの意味にも使うことができます。我々日本人は、相手にかけた苦労に対して謝ることなしに、感謝の意を表すことができないといえるでしょう。

何十年も昔に東京からサンフランシスコに移住した際、特に接触事故やその他の場面で知らない人と関わる場合、簡単に「sorry」と言わないように注意されました。弱みにつけ込まれて、たっぷりお金を払うことになる、気をつけて!幸運なことに、そのような場面に出会ったことはなく、心配の必要はありませんでした。

それでも、私は次第に「ありがとう」を使い始めるようになりました。誰かがドアを開けたり、何かを持ってきてくれたりした時。難しいのは、誰かが何かを褒めてくれた時。なぜ難しいかというと、「ありがとう」と言うことは褒め言葉を受け入れたことになり、自分は特別だと認めることになるからです。褒め言葉にありがとうと答えると、日本にいる人たちから、私は外人の間で長く生活し過ぎて、日本人の立ち居振る舞いを忘れてしまったと思われるでしょう。

誰もが認められたいと思っています。「かわいい靴ですね」「よく頑張りましたね」「素敵な話ですね」に対して「いいえ」「まだまだ改善の余地があります」「とんでもない」の代わりに「でしょう?」「ハイ、頑張りました」「どうもありがとう!」と答えたい。でも日本に滞在中、「すみません」は驚くほどスラスラと出てきます。やはり私はまだ日本人なのです。どの土地に立っているかによって、自分の性格と話し方を切り替えることができます。それってすごいと思いますか?あら、ありがとう!

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