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Eラーニングは言語の壁の完全な解決策ではない

欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域における自動車製造の東および南へのシフトは続いており、西欧における電気自動車(EV)需要の低迷がこの動きをさらに加速させている。トヨタはチェコ工場でのEV生産を開始する計画を発表し、スズキはハンガリーでの生産能力を拡大している。住友電工や矢崎総業といった日本の自動車部品サプライヤーは、現在EMEA地域で合計10万人以上を雇用しており、その多くが東欧および北アフリカに集中している。

西欧以外への事業拡大は、人事や経営管理という点で課題をもたらします。西欧では、フランス人ですら英語を共通言語として受け入れるようになりましたが、東欧と北アフリカでは、社員の英語力がそれほど高くありません。

これは、日本人駐在員のコミュニケーション能力や現地採用スタッフの研修に影響します。このため、経営の現地化が必要です。しかし、私自身が体験したことですが、現地のマネージャーに研修を提供するのは容易ではありません。多数の場所で多数の言語に対応する必要があるためです。

テクノロジーを使えば、問題はいくらか解決できます。コロナの間に、ある日系企業のEMEA各地のマネージャー向けにオンライン研修を英語で何度か実施しました。しかし、インターネット接続が必ずしも安定していません。カメラを付けてディスカッションをしようとすると、たいていは接続が途絶える人がいました。また、多くの参加者にとって英語での参加は明らかに困難でした。

その後、同じコースのEラーニング・バージョンをリクエストされました。アラビア語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語、ルーマニア語、スペイン語の字幕付きでした。人工知能の翻訳ソフトが向上していることから、これを使えばそれほど難なくできるのではないかと期待していましたが、技術的にも言語的にも難しいことが分かりました。

対面のトレーニングで常に強調していることですが、異文化コミュニケーションの問題は、英語や日本語のできる人を入れれば解決するというものではありません。翻訳しやすくするには、オリジナルのコミュニケーションが明確でなければなりません。また、相手の立場に対する理解と共感も、意図を正しく伝えるうえで必要です。多言語のEラーニングは、ないよりはあったほうが良いですが、完全なソリューションではありません。

(本記事は日本語で帝国データバンクニュース(2024年12月11日号)に掲載されました。)

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの多言語対応チームは、あらゆる大陸を対象に、多言語による研修オンライン公開セミナーeラーニングを提供しています。

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