17. 壊れたものは修復できる 【コラム:見る前に跳べ】

誰かに自分の文化をほめたたえられて、ぎこちなく感じたことはありませんか?それとも、誰かが何かに夢中になっていることに対して、こんなふうに感じる私は、いかにも日本人なのでしょうか?

金継ぎを例に挙げてみましょう。金継ぎとは壊れた陶器を、金粉を混ぜたうるしで繕い、修復する日本の技術です。ソーシャルメディアで見たことがあるでしょう。繊細な金の筋が入った茶わん。本当に美しい伝統です。壊れたからといって、ものを捨てないのが日本人です。壊れたものを修復し、その過程でさらに美しいものを作りだすのです。

確かにそれは真実だったかも知れません。しかし、私の友人や家族でそんなことをする人は誰もいません。我々は簡単にものを捨て、新しいものに取り替えます。多くの場合、壊れる前に、もう「ときめかない」からといって捨ててしまいます。本当です。こんまりに聞いてみてください。

別の例に樹木の移植があります。根っこを注意深く束ねた巨大な木をクレーンで吊り上げている写真を見たことがあるかと思います。そこには「日本では、建設工事の際に木を伐採するのではなく移植することが一般的です。これは自然への深い敬意と環境保護を重視する文化的姿勢を反映しています」との説明がついています。

すべての樹木にこれがあてはまるのであれば、何と素晴らしいことでしょう。しかし残念ながら、実際はそうではありません。「神宮外苑1000本の樹木を切らないで〜再開発計画は見直しを!」という22万5千人を動員した請願運動を代表するロッシェル・カップに聞いてみてください。

最後の例がおもてなしです。おもてなしとは、見返りを求めず、誠意を持って客のニーズを予測してそれを満たす日本のホスピタリティの概念です。素晴らしい。

それでは、レストランやその他の施設で見かける「外国人お断り」という看板はどう説明するのでしょうか?人種差別?言葉の壁?理由は何であっても、それはおもてなしとは正反対のものです。このような行為は恥じるべきものです。

私は自分の文化を過度に非難しているのでしょうか?そうかも知れません。しかし私は日本と日本の文化をこよなく愛しています。外国人が日本の文化をほめるとき、それは我々が自分たちの伝統を再び学ぶきっかけとなります。金継ぎ、おもてなし、樹木の移植など、何であっても、我々は学び直して、更に磨きをかけることができます。壊れたものを修復し、その過程でさらに美しいものを作りだすという精神がそこにあります。

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