14. ハグするかしないか 【コラム:見る前に跳べ】

すし詰めの通勤電車からは想像できないかも知れませんが、実のところ我々日本人は、他の多くの文化と比較すると、人と人の間により大きな物理的距離を置くことに価値を見出しています。できれば腕の長さの間隔を保つことをよしとしています。

普通、握手はしません。その代わり、お辞儀をします。ハグ?ご冗談でしょう!ちょっと待って下さい、訂正します。最近の日本では子育ての専門家が、親が子供を抱きしめることを推奨しています。子どもが抱きしめられるとオキシトシンと呼ばれる化学物質が分泌され、親と子の愛情の絆が深まるという研究結果に基づいてのことです。

私が日本で育った頃には、もちろんそんなことは知られていませんでした。これが最近のことだという確実な証拠は、カタカナ英語の「ハグ」が使われていることです。どうやら最近では、「ハイファイブ」をすることもあるようですが、この動作には和製英語の「ハイタッチ」が使われています。

しかし、これらは主に子供たちが行うものです。大人はまだハグや握手をしません。アメリカに移住してから、ハグすることに慣れるのにかなり時間がかかりました。ハグをするときもされるときも、常になんらかの滞りを感じていました。でも、よく言いますよね:郷に入っては郷に従えと。

アメリカに住む日本人同士が出会う時、ぎこちなさはピークに達します。ハグすべきかすべきでないか。非日本人にハグした後に日本人にハグしないと、違和感が生じてしまいます。でもハグすると、即座に後悔することになります。まさにルーズルーズ、どちらにも損となる状況といえます。

我々は一体何を心配しているのでしょうか? 自分がどう行動するかではなく、他人にどう思われるかが気になるのだと思います。自分の感情よりも、他人がどう思うかの方が大切なのです。なんて退屈でつまらない、陳腐なことでしょう。唯一の解決策は、心配せずにのんびり気楽に過ごすことですが、日本人にそれができるかどうかは、また別の話でしょう。

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