Last Updated: 16 12月 2025 イベントレポート あじゃぱん前夜祭s:ピープルセントリック・リーダーシップとは
この記事では2025年10月7日にRedJourneyチャンネル・アジャイル永和チャンネルにて収録された、あじゃぱん前夜祭sにおけるロッシェル・カップのトーク「ピープルセントリック・リーダーシップとは」をレポートします。
それでは、まず講演者をご紹介します:
ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの創立者兼社長。リーダーシップ、異文化理解と人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、グローバル企業の人材育成とチームビルディングを支援。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日系大手金融機関の東京本社における職務経験があり、現在日本企業2社の社外取締役を努めている。『DX時代の部下マネジメント―「管理」からサーバントリーダーシップへの転換』(経団連出版)をはじめ、著書は多数。
それでは、トークの内容を以下にご紹介します。
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日本の企業にアジャイルを円滑に導入するためには、企業の風土や文化をアジャイルに最適化しなければなりません。そのために必要なピープルセントリック・リーダーシップについて、今日は語りたいと思います。
良い商品を作るためには、チームメンバーが幸せかどうかが重要になります。そこにはピープルセントリック・リーダーシップが欠かせないものとなります。ここで注目して欲しいのは、誰でもがリーダーになれるということです。肩書や個人の属性・特徴は関係ありません。
ヴァンス・パッカードは「リーダーシップとは、自分がそうするべきだと確信していることを、他の人がそうしたいと思うように仕向ける一種の技である」と定義しています。そのためには、次の事柄に注目してください:
•「強いる」のではなく「やりたくなる」
•「科学」ではなく「技」である
•「すべてを自分でやる」のではなく「他人を巻き込む」
•「言葉巧みに他人を操る」のではなく「心から確信する」
アメリカのリーダーシップ専門家、クーセズとポズナーは、模範的なリーダーシップとして次の5つのステップを提唱しています:「模範となる」「共有されるビジョンを鼓舞する」「プロセスに挑戦する」「人々を行動に駆り立てる」「心から励ます」
その内容を以下に説明します:
「模範となる」
• 部下の手本となる
• 自らの価値観を明確に持っている
• 自分の価値観に一貫性を持っている
「共有されるビジョンを鼓舞する」
• より高尚な将来を描く
• 共通のビジョンに部下の関心を惹きつける
• 部下の価値観、関心、希望、夢に訴えかける
「プロセスに挑戦する」
• 挑戦の機会を探す
• 変化、成長、改革、改善を促す
• 試して、リスクを取り、失敗から学ぶ
「人々を行動に駆り立てる」
• 協力して目指すことのできる目標を設定し、信頼を築いて協力を促進する
• 情報と力の共有で部下を強くする
• 組織内で部下の知名度を上げる
「心から励ます」
• プロジェクトの成功に貢献した人々の努力を認める
• チームの目標達成を定期的に祝う
チームメンバーのニーズを中心にして、チームの目標を達成しながら、幸せな働き方を可能にするピープルセントリック・リーダーシップを、是非、自分の職場に取り入れてみてください。
Q & A
Q: 自分の周りでリーダーとして模範となるような人を探すためのアドバイスってありますか?
A: 自分の業界に限らず、いろいろな著名人を観察することで、得られるところがたくさんあると思います。そのためには、自分が何を学びたいのか、どんな模範が必要なのかを明確にしておくことが必要です。
Q: 尊敬する人を無意識に真似することってありますよね。
A: 確かに!リーダーシップで重要なのはコミュニケーションです。効果的なコミュニケーションの方法は是非真似すべきです。
Q: 誰でもリーダーになれる、とのことでしたが、やはり人によって得意な分野、不得意な分野があるので、いろいろな人を模範として、それぞれのいいところを真似していく、というのがいいかも知れませんね。
A: そうですね。いろいろ寄せ集めするのがいいですね。
Q: 偶然の出会い、っていうのもあると思いますが、その他に意識的に出会いを作り出すには、どのようなことをすればよいのでしょうか。
A: 英語のことわざで「Luck favors the prepared(幸運は準備した者に味方する)」というのがあります。準備を怠らないで努力を重ねることが大切だと言えます。
Q: リーダーシップとアジャイルの成功の関係について、まとめるとどうなりますか?
A: アジャイルのチームは、各人がリーダーシップを遂行することで成功につながると思います。逆に、各人がリーダーシップを発揮しないとアジャイルにならない、と言うことができます。
Q: 日本に最初にアジャイルが来たとき、アジャイルは日本には向かないのでは、という考え方もありましたが、それは日本人のチームメンバーそれぞれがリーダーシップをとるというのに慣れていなかったからでしょうかね。
A: そうですね。日本の従来の仕事の仕方とはまったく異なるものですから。
Q: 今回のテーマに関して、日本とアメリカとの文化の違いが影響している点というのはありますか?
A: 日本の場合は上から下への管理という形が伝統として根強く残っています。そのようなマネジャーにはなりたくない、ということを最近の若者や女性からよく聞きます。日本では、従来のマネジャー像に取って代わるものが必要だと思います。
Q: 最後に、アジャイル・ジャパンの見どころや魅力について、個人的にどうお考えかをお聞かせください。
A: いろいろな人が気軽に話をできるという雰囲気がとてもよいと思います。講演の合間に積極的な意見交換があり、インタラクティブな場となっているのが非常に素晴らしいと思います。
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以上、あじゃぱん前夜祭sにおけるロッシェル・カップのトーク「ピープルセントリック・リーダーシップとは」のレポートでした。
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