Last Updated: 06 5月 2026 19. 心の方向転換【コラム:幸せになろうよ – a joyful life】
コーチングのクライアントの中に、「職場では仕事に集中しているが、帰宅したとたんに不安や後悔に浸ってしまう」という方がいます。脳天気な私にも、心にひっかかったままのものがありました。亡き母が生前に譲ってくれた真珠の首飾りを、盗まれてしまったことです。
首飾りがなくなってしまったこと自体は、すぐに諦めがつきました。しかし、そのネックレスをして出かけた若い人のお葬式から帰宅し、「もうこのネックレスをつけて出かけたくない」と思ったことに、罪の意識を感じてしまいました。そう思ってしまったことと盗まれたことの間に関連がないことは分かっているのですが、それでも、その一瞬の思いが首飾りを失う結果を招いてしまったという思いに、囚われてしまいました。
自分を許さなければならない、許して前に進もう。そう思ってもなかなか振り切れませんでした。
8_言葉の組み合わせで頭を刺激 で取り上げた両極性(polarities)の一つに「責任::許す心」があります。二つの言葉の間にある「::」は、両者に同等の価値があり、かつ相互に反対の方向へ引っ張りあう緊張関係を示しています。私の場合、責任感のある人間でありたいという価値観が強く、自分を許せないことが問題の核心でした。自分を許すことの大切さを言い聞かせ続け、だいぶ楽になった後も、時おり自責の念にかられることがありました。
ナラティブ・コーチング(人生の物語を使うコーチング)を確立したDavid Drake の手法の一つに方向転換(pivot)があります。私の場合、「母の真珠の首飾り」を思い出した瞬間に、罪の意識へと落ちていく古い物語ではなく、新しい物語を選択するようにします。
新しい物語を作るには、新しい心の姿勢(mindset)が必要です。後悔に縛られる負の時間を、「喜びを感じる時間に変える」ことにしました。次に、その心の姿勢で描く強い願望(aspiration)を決めます。個人の物語の選択ですから、自分に納得できるものであれば何でも構いません。心に響くものに出遭うと、心のしこりが溶けるような感覚があります。人様には大げさに感じられると思いますが、私の願望は「愛情に満ちた生活」でした。
次に、新しい心の姿勢に合う行動を考えます。そしてその行動をとりやすくする環境を整えます。そこで、真珠の首飾りを思い出した時は、まず心の環境を変えるために、母が愛でていたカタクリの花の写真を見ることにしました。そして、花に水をやったり、連絡しそびれていた人へメールを送ったりします。そうした行動をとりながら、母は私が後悔に打ちひしがれることを望んではいないと心に刻み、愛情に満ちた生活を目指そうと(再)決心します。
こうして、心はずいぶん軽くなりました。過去をやり直すことはできませんが、新しい物語に命を吹き込むことで、今この瞬間から理想の人生に向かって一歩を踏み出すことができます。どうぞお試しください。
関連記事
【失敗しないための幹部職採用プロセス】② ─ 幹部採用の失敗が経営に与える本当の代償
経営幹部の採用に失敗した場合、その影響は「想定外に大きく」、...
【失敗しないための幹部職採用プロセス】① ― なぜ日本企業の幹部・役員採用は行き当たりばったりになるのか
本社で海外事業を統括する、あるいは海外に赴任し、現地法人の経...
26. 災い転じてレモン大福となす【コラム:見る前に跳べ】
私が提供しているサービスのひとつに、商品名をつける際の大失態...


