なぜ日本の企業が変われないのか?
『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』を読んで下さった読者高倉様から、下記の感想文が寄せました。貴重な指摘に富んでいるので、皆様にシェアしたいです。このテーマについて皆様との会話を続けたいと思います。
60歳の男性。大手電機メーカー勤務の後、定年退職しました。
カップ様の著書「日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが
低いのか?」を興味深く読みました。巻末に、意見をどんどん送ってほしい
とありましたので、お言葉に甘えて私の感想をお送りいたします。
まず、この本の内容、提案には100%賛同します。私の会社勤務経験を
顧みても、実に的確な指摘と考えます。
そのうえで、以下、私が感じたことを述べます。
<なぜ変われないか>
理由は3点ほど考えられます。
1.過去の成功体験の否定の困難さ
高度成長期に機能したシステムは現社会に根付いています。
このインフラとなっているものを変える困難さがあります。
妙なたとえですが、街の景観を改善するために日本全国の電柱
を地中化するのと同様の困難さです。よほどの決意が必要という
ことです。
2.日本人のメンタリティによる要因
現在の雇用・人事制度は、日本人のメンタリティをある程度反映
したものと考えらえられます。グローバル標準の雇用・人事
(そんなものがあるとして)をそのまま採用することはおそらく
うまくいかないと思います。うまく日本人に適するようにアレンジ
する必要がありますが、その姿が見えない。
3.現体制で既得権を得ている人たちの抵抗
20~30歳代の人は日本の雇用・人事に強い不満をもっていると
思われます。これは今に始まったことではなく、若い人たちとは
元来そういうものだと思います。40~50歳代の人はすでに諦めているか、
現制度から利益を得ているので、システム改変には抵抗勢力になる。
そしてこれらの年齢の人は経営側であるだけに余計に変革は難しい。
<どうすれば変えられるか>
これに対する私の見解はかなり消極的なものです。おそらく自己変革は
難しい。自己変革が可能であれば、すでに平成の間に変わっていても
おかしくないのに30年経っても変わりません。
もし変わるとすれば次の2つの場合のどれかだと思います。
1.経済、社会が行き詰って、これ以上どうしようもないところまで追い込まれ、
変革せざるを得なくなる。
2.過去の高度成長期の成功体験を知る古い世代がいなくなって、しがらみの
ない新しい世代が変革を行う。
私の意見では、どん底まで追い込まれる必要があります。逆に日本人は
そういう状況になると、がぜん優れた力を発揮する可能性があります。
明治維新、敗戦後の復興は日本人のたくましさを証明しています。
日本人の性向について次のようなたとえ話を聞いたことがあります。
船の上に多くの日本人がいるとします。日本人が船の片方にどんどん
集まってきて船が傾きます。そしてこれはすぐに沈むなと思われた瞬間、
片方に集まっていた日本人が一斉に反対外に飛び移って、船のバランスが回復する。
日本ではそんな風に物事が進むのかもしれません。
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