コーチングの中で必ず話題にするのが、価値観です。以前は「何を大切にされていますか?」と聞いていました。「思いやり」「親切」「共感」などをあげる人がほとんどでした。その後、視野を広めてもらうために、価値観のリストやカードを使い、違う価値観を3つ出してもらうことにしました。価値観が一つの方向に傾いていると、新しい要素を取り入れにくくなったり、慣性に流されたりして、長期的には悪い結果を招きやすくなるからです。

たとえば、部下に協力ばかりを求めていると、他人に頼りがちになる人がでる一方で、特定の人に仕事が集中してしまいがちです。この状態が長く続くと、不公平感や疲労などから部下の意欲が失せ、チームの総力が落ちる可能性があります。そのような事態を防ぐ方法の一つが、競争の側面を普段から取り入れ、協力と競争の良い面がともに現れるように工夫することです。

協力と競争のように違う価値観や方向性の組み合わせを、両極性(polarities)と呼びます。

注意していただきたいのは、単に中間点を見つけたり、妥協点を探ったりしても、両極の良いところが活かせないことです。また、両極の良い点を活かすには、方向性の組み合わせそのものや、可能になる新しい結果にワクワクするなど、エネルギーを感じることが必要です。

この考え方を使って、日常生活の課題について考えるのも面白いです。

少し前のことですが、座りっぱなしの仕事が数日続いた後、腰から上へビーンと走った痛みで、一瞬ですが息が止まりました。ぎっくり腰の兆候かもしれないと思い、「リラックスする」を目標に掲げましたが、それを実現するためのアイデアがちっとも浮かびません。そこで、相反する副詞をつけ、「真剣にリラックスする」について考え始めました。この遊び心のお蔭で考えるのがとたんに楽しくなり(エネルギーを感じた)、真剣であることを行動で表現する方法が浮かびました。「夜、歯を磨いた後は仕事をしない」「就寝前にほぼ毎日20分間、リラックスできるポーズで休憩する」などです。

ところで、冒頭にあげた「思いやり」「親切」「共感」などの価値観に違う価値観や方向性の違う要素を加えて、あなたのリーダーシップに幅を持たせたいとしましょう。どんなものを組み合わせますか? 

この問いに「あるべき正解」はありません。あなたがご自分の課題をどの二つの角度で考えたいかが、一番大事です。なぜなら、あなたの状況を一番よく知っているのは、あなただからです。「共感」の対極に置くのは「勇気」や「一貫性」などの価値観かもしれませんし、「業績」や「部下の成長」などの課題かもしれません。あなたを成長に導いてくれそうな組み合わせだと思ったら、現実になってほしい、それぞれの要素の良さについて考えてみてください。そして、それを実現するための行動を実行してみましょう。

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