2023年終わりに、ようやくまた日本に行くことができました。前回は4年半前でしたから、何が変わったか、何が変わっていないかを見るのが待ちきれませんでした。
食べ物は相変わらずおいしく、円安のおかげで今までにない割安感がありましたが、労働力不足がカスタマーサービスに及ぼしている影響は否めず、それを克服するための自動化技術にも不満が募りました。
あるコーヒーショップでは、店内に空席がたくさんあるにもかかわらず、ウェイティングリストに名前を書いて、店の外で並んで待つよう言われました。ようやくウェイトレスが来てテーブルに案内されましたが、注文はQRコードで入れてくれとのことでした。
言われたとおりに紅茶を注文しましたが、20分以上経っても運ばれてこないため、呆れて店を出ました。夕食に行った水餃子の店は、もっと良い体験でした。2人の若い男性がやっている個人事業店のようでしたが、安いラーメンのチェーン店で見かけるような食券の自販機がありました。この店で食券というのは、最初は少し変な感じがしました。購入した食券をカウンターごしにオーナーに手渡すだけなのですから、単に口で伝えれば済むことのように思えました。とはいえ、ウェイターの人件費を節約するだけでなく、オーナー2人が調理に集中するために、このシステムにしたのでしょう。確かに、スープがとてもおいしく、餃子も最高でした。カスタマーサービスも良くて、調理しながら常連客とおしゃべりする様子が好印象でした。
これは自動化技術の良い使い方と言えます。不必要に遅れを生じさせたり、大事な仕事に集中できなくなったりしないために、あらかじめ顧客にやれることをやってもらう、ただし顧客への負担はできるかぎりかけないアプローチです。
ここには文化的な違いもあったかもしれません。欧米人は辛抱強くありませんが、日本ではたくさんの人が行列を厭わず並ぶ様子を見かけました。たいていは食べログで評判の店です。行列のできる店であるということが、品質保証の意味を持つのでしょう。
日本の入国管理局は、外国人が入国する際の長い行列に不満を抱くことを明らかに認識していますが、同じことを達成するのに自動と手動のプロセスをいくつも設けたことで、行列の体験を悪化させていました。多数の係員がいて助けようとしてくれることが、ありがたいというよりむしろ煩わしいと、多くの外国人が感じています。
外国の入国手続きが自国に戻る時より複雑であることは分かりますが、最近ポーランドからイギリスに戻ってきた時には、飛行機の着陸から20分以内に鉄道に乗っていました。パスポートを読み取る自動ゲートが導入されていて、明確な案内表示が十分に設置されているからです。でも、係員はいません。
日本への出張中に、ある面白い人物に出会いました。昼はカスタマー体験デザイナー、夜は手品師という2つの顔を持つ人でした。この2つのスキルに関連性があるのではないかと思い始めました。決してでしゃばらず、さりげなく顧客を導いて、見るべきものを見てもらい、理解してもらうことで、望ましい反応を顧客から引き出す能力と言えるでしょう。
帝国ニューズ・2024年1月17日
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