
日本人駐在員が英国人の部下を持った時、部門の業績を上げるために重要なのは、英国人の部下は何を期待しているか、を知ることです。そのためには、文化の違いとともに、それらが大きく影響する、雇用システムの違いを理解する必要があります。
日本では、会社で働く人を「社員」といい、直訳すると「member of the company」という意味です。年功序列制度などの影響で、長年同じ会社で働くことの多い日本では、社員と会社の関係は比較的友好的で、従って会社は「運命共同コミュニティー(Community of shared fate)」であるとよく言われます。よって、会社内でのコミュニケーションに関する問題は、インフォーマルに解決されることが多くなっています。
一方、英国では、会社で働く人を「Employee」といい、日本語に訳すと「被雇用者」という意味になります。これは、社員と会社が、ドライな雇用契約関係にあり、対等な立場にあることをよく表しています。よって、会社は契約した内容は守る義務があるだけでなく、国の様々な法律で雇用ルールが細かく決まっています。従って、雇用関係の問題は、法廷で金銭的に解決されることが多く、油断できません。
このような英国と日本の雇用システムの違いは、日本人と英国人がコミュニケーションを取る際に、知らずと大きな影響を及ぼしています。
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