ヨーロッパの社員の休暇

日本政府が提案した、有給休暇の取得日を会社が社員に対して指定するという労働基準法の改正案は、ヨーロッパのメディアでも注目をあつめました。日本人の社員は、長時間勤務をはじめとする熱心な働きぶりで高く評価されています。しかし、その一方で、ヨーロッパ、とくにドイツ人のマネージャーの多くは、残業が多いと管理の仕方が悪い証でもあると懸念し、また社員が休暇をとってリフレッシュしなければ健康や安全上の問題につながりかねないことを心配します。

ヨーロッパの人は、日本人やアメリカ人に比べ、与えられた休暇をフルに取ろうとする傾向にあります。EUの法律では、加盟28カ国すべてに対して、最低でも年に4週間の休暇をすべての社員に法律で認めるよう義務づけています。その実地状況は国によってまちまちです。

国ごとで異なる休暇規制と取得状況

フランスや北欧諸国は、ヨーロッパで最も休暇日数が多いことで知られています。ある調査によると、フランス人は法律で認められた30日(これは土曜日が含まれます)の休暇をフルに取得していると報告されました。また、週35時間以上働く場合は、その見返りとして休暇をさらに最大22日まで追加することができます。

北欧諸国の休暇日数は25日~30日ですが、6月初旬から8月中旬まではほぼ全面的に夏休みとなり、ほとんどの家族連れは夏の間中、海辺や島のバケーションへと雲散霧消します。

ドイツでは、国が義務付けている最低24日の休暇のほかに、州ごとに規制があります。各州が追加の公休日を別途決めていて、学校の休みも州ごとに決められているためです。

私たちイギリス人は、ヨーロッパの中で自分たちが最も仕事熱心だと考えています。法律では28日の休暇が保証されていますが、これには祝日が含まれ、たいていの企業は8日か9日の祝日に加えて25日の休暇を提供しています。最近、さまざまな福利厚生のメニューを提供するのがイギリス企業の間のトレンドとなっていて、これに有給休暇を売り買いするオプションなどが含まれています。使わなかった休暇は翌年に繰り越すこともできますが、繰り越せる日数は通常、上限があります。

イギリスの学校の夏休みは北欧諸国に比べてはるかに短く,またヨーロッパでは、米国のように夏休みに子供を泊まりがけのキャンプに参加させる習慣があまり一般的ではありません。このため親たちは、夏の間に少なくとも2週間の休暇を取得して、子供と一緒にバケーションを過ごせることを期待しています。

このため、欧州全域にわたる事業やチームを管理している場合は、あちこちの国で社員が前々から休暇を申請できるようにするメカニズムを導入する必要があります。夏休みのピークにも仕事をカバーする十分なスタッフを確保できるようにするためです。

また、最近では、休暇中もスマートフォンで仕事のメールをチェックする生真面目な社員がいることに懸念を上がりました。この点については、ダイムラーが最近、休暇中の社員が確実にリラックスできるように計らいとして、休みの間はメールを自動的に削除するシステムを導入して話題になりました。

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