作者:増田真紀子とロッシェル・カップ
アメリカでの面接と日本での面接には、大きな違いがある。その中でも顕著に異なるのが面接の目的だ。日本における伝統的な面接は新卒者を面接し、その人が入社した後で育成するというもので、会社側が教育をしながら適切な技能をその人に与えていくため、採用段階ではスキルや経験はあまり重視されない。そのため、会社側が重点を置くのはその人物の性格・態度が会社の雰囲気に合うかどうかである。それと対象的に、アメリカの面接では、応募者のほとんどが中途採用で、即戦力となることが求められている。アメリカでは会社としてではなく、そのポジションに人を雇う考え方なのだ。そのため、会社の雰囲気に合うかよりも、その人がどの程度の技能・知識・経験を持っているのかを見極めるのが最も大事な面接の目的となる。
次に異なる点が面接に対する考え方である。日本では面接において会社側が力を持つ場合が多く、面接される側は “選ばれる” という感覚の場合が多い。しかし、アメリカでは面接をする側と面接される側はまったく対等で、双方ともに魅力的でなければ相手に選ばれることはない。面接される側が特にへりくだる必要もないし、採用側が傲慢な態度であれば、優秀な人材を逃すことになる。
上記の点を踏まえた上で、魅力的な候補者になるためのポイントを考えてみよう。
自信のある態度で面接に臨む。
欧米の文化では「個人は長所をできる限り前面に押し出す」(put your best foot forward)、「良い点を目立たせ、欠点は隠す」(accentuate the positive, eliminate the negative)べきだと考えられている。面接の場において謙遜しすぎは通用しない。ただし、これを取り違えて “I’m best person for this job.” (私はこの仕事にベストの人材です)のような言い方をすれば、根拠の無い自信過剰の人物と思われる。具体的な例を出し、自信がありながらも丁寧な表現ができるようにしておくことだ。例として、”I believe that my skills would be a good fit for this position.” (このポジションに私のスキルは最適だと思います)や “I have received high job performance ratings in my previous jobs, and I would bring the same dedication to this position.” (以前の仕事でも私の仕事は高い評価を受けていました。このポジションにも同じ熱意を持ってあたります)のような言い方ができるようにしておく。
“Tell me a little about yourself.” に上手に答える。
アメリカでの面接の始めの質問がこれである可能性は非常に高い。そこでこの質問に対するインパクトがあり、なおかつ簡潔な答えを用意しておくことが重要である。年代順に沿って自分の学歴と仕事経験を紹介する方法、そして自分の経験と長所・特技を交互に紹介する方法の2通りがある。その他のポイントとしては、答えは時間にして3~4分で、5分以上は決して話さないこと。自分がどんなに興味深いと考えている事柄でも、5分以上話し続ければ相手を退屈させる危険性がある。また、日本人の面接で履歴書をそのまま読み上げるような答え(大学を何年に卒業、C 社に何年入社)をする人が時々いるが、会社側はそのような答えを求めていない。それぞれの経験を英語で簡潔に要領良く話せる技能が面接の場では必要とされる。
そして実際の面接の前に、面接だと想定し、自分が質問に答えている様子をビデオに撮る、またはアメリカ人の友人の協力を得て、面接官の役をしてもらい、感想を聞かせてもらうことが非常に役立つ。また、さらに本格的に練習したい人には、プロフェッショナルのインストラクターが面接スキルを教えてくれる会社や、大学の就職課、コミュニティの職業紹介所で行われている模擬面接(mock interview)を受けるといった方法もある。
This article originally appeared on the shigotosagashi.com website.
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