前回通訳について書いたところ、これを読まれた通訳経験者からコメントをいただきましたので今回も少し触れたいと思います。10月中旬から2年ぶりに日本に行ってきました。いつも妻と二人で訪れる日本ですが、今回は義理の兄が同行しました。彼にとって初めての日本でしたが貴重な体験だと喜んでいました。彼は私がツアーガイドでいるから安心だと言っており、私も妻は何回も日本にいっておりそれなりに土地勘もありますから一人増えても大差ないだろうと高をくくっていましたが、実際は結構予想外の事が起きました。

彼は私が日本生まれの日本育ちである事を知っていて、まるで私が日本の何から何まで熟知していると思い込んでいるかの様に頻繁に質問をしてきます。曰く、ホテルのルーム間の電話はどうするの? ホテルのコインランドリーはどう使う? これらはホテルにより少しずつ方法が違う事もあり、毎回確認して返事をしていましたが、其のうち、はてなんで彼は何でも私に聞いてくるのだろう、昔と違い海外からの旅行者が使うホテルのほとんどがフロントには英語を話せる人がいますし、色々なガイドや使用方法が英語標記になっているのでこれらをまず読むか、わからなければフロントに聞けばいいのではと思うようになり途中からその様に彼に言うようにしました。

ここで気がついたことは彼はこれらを読む前に私に聞いてきた事です。後になって妻から聞いたのですが彼からどうしてHiroshiはあまり人に尋ねないのだろう、って不思議そうに聞かれたそうです。私だってわからなければ人に聞きますよ、何の情報も見当たらない時は。一般的に日本人は聞くのは恥だと思うふしがあるそうですが、私自身はわからないことを他人に聞くことにあまり抵抗はありませんが、其の前にまず必要情報が回りにないかを探します、だって誰かが労力を使ってこれらの情報を作っているのですから無視しては申し訳ない、と思うのは日本人一般のメンタリティでしょうか、それとも私個人のものでしょうか? 

さて旅の間私は通訳という事をして来たわけですが、改めてその難しさを痛感しました。前回も記載しましたが、そもそも通訳をする人が状況を全て把握しているわけでもなく又、質問に対する十分な情報を事前に持っているわけではないので回答に時間がかかる事が多々あります。私の場合でも同様で結構お互いフラストレーションを溜めたのではと思います。これが仕事の場ですともっと深刻になる場合も多々あります。通訳は機械ではありませんので、時間経過と共に疲れてきます。どう通訳をされる方に十分は配慮をしていただくと共に忍耐を持って接してください。

もう一つ話題を取り上げてみます。それは「反省」と言う言葉です。この言葉は日本の社会では頻繁に聞きますし、企業の中でも良く使われます。現状把握とその反省点と今後の対応、と言った具合に。この言葉を英語に置き換えると「Reflection」が多く使われています。しかしながら、この二つの言葉には少しニュアンスの違いがあるように思います。 

反省を辞書で引くと 1 自分のしてきた言動をかえりみて、その可否を改めて考えること。 2 自分のよくなかった点を認めて、改めようと考えること。となります。

「reflection」とは、個人が日々の業務や現場からいったん離れて自分の積んだ経験を「振り返る」こととなっており、反省の1.の意味に相通じていると思います。しかし、実際日本の巷で使われている意味は2.のほうが圧倒的で非を認め悔い改めるという風に理解されている気がします。一方、reflectionは過去の経験を振り返り今後に生かしていくと言う未来志向型のアプローチと見られ、米国では受け入れやすい形になると思います。反省しないアメリカ人と言う言葉を聴きますが、反省ではなくreflectionをしようといえば案外理解をしてくれるかも知れません。では、この辺で。

* この記事はデトロイト日本商工会の会報「Views」に2019年11月に掲載されたものです。

Hiroshi Iwasaki
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