Last Updated: 31 10月 2025 15. 久しぶりの日本で感じた事 【コラム:異文化の海を泳ぐ】
さて今回は妻と2人で10月に3週間程滞在した日本で改めて感じた日米の差を、妻の視点を交えながら述べてみたいと思います*。
以前にも触れましたが私の妻はアメリカ生まれのアメリカ人ですから、彼女の視点はアメリカ人から見た日本文化と自国のそれとの違いの一つと言えましょう。今回の日本行きは、これまで外国籍者は観光目的での入国を制限されていたものが夏から秋にかけ大幅に緩和されたこともあり計画したものです。入国時、検疫場でのチェックに多少時間がかかったものの全般的には大きなトラブルはなく2人であちこち観光したり、旧交を温めたりと忙しくはありましたが楽しい日々を送りました。大きなトラブルはなかったと書きましたが、小さなものはちょこちょこありました。その一部をご紹介します。
熊本で新幹線を下車した際頭上の棚においたカメラ入りバッグを忘れてしまったことに気が付きました。駅員にその旨告げた所、すぐ車両に連絡をとってくれ存在は確認されました。ただし受け取りは最終駅、鹿児島でしかできないことを告げられたので、荷物受け取だけの為迷わず次の新幹線に飛び乗りました。私自身、荷物は問題なく戻ってくると思っていましたがホテルで待っていた妻は大分心配していた様で私が持ち帰ったものを見るなり、やっぱり日本だな、アメリカだったら戻ってくる確率はそんなにはないなと言っていました。
もう一つの忘れ物。それは私がシャツをどこかのホテルに置き忘れた事です。ホテルを転々としたのでまあ見つからないだろうと半ばあきらめていましたが、最後の週旅の最初に宿泊したホテルに又滞在しました。チェックイン時、妻がカウンターで聞いてみたらと言うのであまり期待もせず尋ねた所、確認して連絡するとの事。部屋でくつろいでいたらフロントから電話です。答えは“残念ながら”と想像していたのに反し“有りましたのでお届けします”との事。受け取ってみるとなんと洗濯されていました。これには私も正直驚きを隠せませんでした。
このケースではいくつか異文化的観点から特筆できる点があると思います。1つ目は先のケースと同様紛失物が見つかった事。2つ目は妻のアドバイス、まず聞いてみたら?と私の反応。どこに置き忘れたかわからないからな、と躊躇。如何でしょう、よく言われる日本人とアメリカ人の反応の違いによく似ているとは思われませんか?3つ目は持ち主が現れるとは限らない忘れ物を洗濯してくれた事。これらはやはり文化の違いと見て良いのではと感じました。
最後に感じた事はコロナ対応についてです。以前にも触れたことがありましたが、今回自分の目で見た日本人の対応はアメリカ人から見たら理解の枠を超えているのではとさえ思えるものでした。日本でも毎日感染者数や死者数などが報道されており、決して収束しているとは言えない状況の下、ほとんどの人々はマスクを着用していますし、レストランでは今でもテーブル上にクリアーシートが立てられてお互いを遮断している所がほとんどです。(少なくとも我々が利用したレストランは100%設置してありました。)
更に驚いたことはどこのホテルでも朝食ビュッフェでは一人ひとりに簡易手袋が手渡され、食事を取りに行くときはこれをはめていくスタイルがとられており、外国人を含め皆がこれを遵守し、苦情をいう人は皆無でした。コロナ禍は終わっていないのにマスクをする人はほぼ皆無、レストランでも通常の状態に戻ったここアメリカとはなんと大きな違いでしょう。私の妻に言わせると、言われたことを辛抱強く守る日本人気質と、個人の権利を第一に考える米国人気質の違いではと言っていました。皆様はどうお考えですか?
それでは次回又お目にかかりましょう。
* この記事はデトロイト日本商工会の会報「Views」に2022年11月に掲載されたものです。
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