corporate politics in Japanese companies

日本企業のカレンダーで最も重要な日が近付きつつあります。それは4月1日。ほとんどの日本企業では、この日に新年度が始まるだけでなく、異動や再編の重大発表がすべて行われ、そしてピカピカの新入社員がプロパー採用のサラリーマン、サラリーウーマンとして初日を迎えるからです。

おかげで3月は不安に駆られる1か月となります。赤丸上昇中は誰か、衰退下降線は誰か、新社長のお気に入りとなるのは誰か、どの派閥がどのバトルに勝ちつつあるか、そんな憶測と情報のリークが飛び交うからです。

私のトレーニングに参加するヨーロッパ出身の社員が、日本企業はヨーロッパの企業に比べて社内政治が激しくないように見えて新鮮だという感想を述べるたびに、私はあまりシニカルになりすぎないようにしています。言うまでもなく、3月(やその他の季節)を覆うムードの底を流れる潮の満ち引きに気付かないまま過ごすことは、とても容易です。けれども、日系企業に長く勤めている社員は、うかつにしていると4月になってその暗い底流に足元をすくわれかねないことを、よく知っています。

日系企業で働いていた時、私はこの「クレムリン」風の政治分析のアプローチをちょっとやりすぎていたかもしれません。自分と接点のあった人たちを漏らさずスプレッドシートに記録して、入社年、役職と等級、その他の気付いた点などをすべて書き込んでいたのです。このファイルを毎年4月1日に入念に更新して、好成績を上げた人には称賛の言葉をメールで送っていました。

でも、これが必ずしも突飛な行動ではなかったことが明らかになりました。日系企業に長く勤めているイギリス人の知り合いにこの過去の秘密を打ち明けたところ、その彼も同じようなスプレッドシートを勤続20年にわたってずっと更新し続けていて、リストがあまりにも大きくなったのでプリントアウトして自宅のガレージの壁に貼ったという話をしてくれたのです!

日系企業で働く別のイギリス人のエグゼクティブから、自分の右腕となる役職に誰を選ぶべきかについてアドバイスを求められて、完全に日本の政治モードに入ってしまったこともありました。候補者の年齢、新卒入社だったかどうか、誰がスポンサーやメンターになっているか、もともとどの事業部門の出身だったかなどを、すぐさま聞いてしまったのです。そのエグゼクティブは、私の質問にほとんど答えられなかったばかりか、これらの点にはまったく関心を寄せていませんでした。彼が主な基準としていたのは、今のチームで良い業績を上げているかどうかでした。

これはかなり新鮮でした。日本企業ではしばしば、出身の部署が悪かったり、悪い派閥に属してしまったり、また過去に過ちを犯してしまうと、それがたとえ善意に基づくものであっても、取り返しがつきません。少なくとも欧米人のマネージャーは、成績の悪い社員を切る際は容赦がない一方で、多くの場合(常にではありませんが)、過去のキャリアに関係なく成績を上げた社員に報います。

日本企業が真にグローバル化して外国人幹部に人事の采配を握らせるようになれば、人脈が厚いだけで成績は振るわない社員には、はるかに居心地が悪くなることでしょう。逆に、自分のキャリアは終わったと思っていた社員に新たな活路が開かれるかもしれません。

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