16. フィードバックの環境を整える【コラム:幸せになろうよ – a joyful life】

亡父の看病で日本へ頻繁に飛んでいたときに、唯一お引き受けしたボランティアの翻訳の仕事(英語から日本語)をやっと終えました。読者に希望をもたらすよい作品ですが、ある章が全体の作風に合わず、「玉に瑕」だと感じていました。米人著者の熱心さが鼻につき、読めば読むほど、物語の世界から現実へ引き戻されてしまいます。

純粋にビジネス上の関係であれば、私は迷わずフィードバックを提供します。しかしボランティアという立場と、彼は友人であることから、対応を決めかねていました。

一度やんわりとしたフィードバックをしたとき、彼の反応の端々に、フィードバックへの抵抗感が感じられました。そのため、多少整理整頓はしましたが、基本線は変えませんでした。二回目の今回は、メッセージがきちんと届くようにしなければなりません。

フィードバックは、コーチングやトレーニングでも取り上げるトピックです。ふと思いつき、お客さんのために用意した自分のプレゼンを読み返しました。そして、「フィードバックへの環境を整える(Set the stage for feedback)」について検討する必要がありそうだと判断しました。

検討の結果、方針を3つに絞りました。

まず、友人関係の悪化を危惧して尻込みするのではなく、彼の成功をサポートしたいというポジティブな気持ちに切り替えること。他の章の良さを活かしたいという点を、提案の中心に据えること。最後に、友人関係をフィードバックへの障害と考えず、友人だからこそできるフィードバックの仕方を考えること。

そこで、まず私が英語で書いたこの章の別バージョンを彼に送り、提案内容の裏にある理由を「作品の成功をサポートするため」を基調として説明しました。また、対面での対話の継続を提案しました。

別バージョンを書いたのは、私の意図を言葉で説明するより、例を読んだほうが感覚的に分かりやすいと思ったからです。また、私の提案からヒントを得て、彼が新しく書き直すきっかけになるかもしれないとも考えました。

フィードバックをプランする際は、フィードバックの目的に、よい結果(result)と人間関係(relationship)の両方を含めるのがよいでしょう。そして、一回でよい結果を出そうと力まず、焦ることなく、対話の継続を基本としたフィードバックの環境を整えましょう。場所や時間もフィードバックの大切な環境ですが、一番の鍵はあなたの心の姿勢(mindset)です。

さて、私のフィードバックの結果は? 彼はじっくり再考したそうですが、やはり抵抗感が強かったようです。私は「急がず、時間をおいて考えてみて」と差し戻しました。      ~つづく

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