29. 音姫ものがたり【コラム:見る前に跳べ】

最近、ストーリーテリングのイベントに参加したのですが、そこで、かつて女性だったトランスジェンダーの男性から、洞察力に富んだ興味深い話を聞きました。彼は、人生で初めて公衆トイレを使った時の感動的な話を私たちに聞かせてくれました。

それはあるスポーツイベントでの出来事でした。ハーフタイム、彼はいつものように女子トイレの列に並びました。しかし彼は、テストステロン注射を打っていたせいで、体に変化が起こり始めていました。列に並んでいた数人の女の子や女性たちが彼を見つめながらヒソヒソと話をしているのを見て、突然、彼は自分の過ちに気づきました。列を離れた彼は、勇気を奮い起こして男子トイレに入ろうとしましたが、男子トイレを一度も使ったことがなかったため、どうすればよいのか不安を感じました。彼は「もし個室が空いていなかったらどうすればいいのか?列を作るのか?」といった、哲学的な深遠な疑問を検索し始めました。

ようやく十分な情報(目を合わせてはいけない、見知らぬ人と雑談してはいけないなど)を手に入れた彼は、勇気を集結して男子トイレに入り、開いている個室に駆け込みました。そこで彼は新たな疑問に直面しました。男性は小便器でしか小用を足さないのか、それとも個室でも小用を足すのか?その時、隣の個室で誰かが小用を足し始めた音がして、彼の疑問はすぐに解決しました。

彼はその効果音について説明を続け、部屋中が爆笑に包まれました。しかしこの話が、日本の女子トイレではどんなことが起きるのか、また私がアメリカで女子トイレを使った初期の経験を思い出すきっかけとなり、私の笑いは続きませんでした。

日本を旅行したことがある人なら、ハイテクで機能満載の日本のトイレを使ったことがあると思います。しかし男性の方は、その機能の一つである消音装置についてご存知ないかもしれません。そうです、押すと水の流れる音が出てくるボタンがあって、排尿音をかき消してくれるんです。

ハイテクトイレが登場する前、日本人女性は同じ効果を得るために、用を足す前に水を流していましたが、これは水の無駄遣いでした。従って、この小さなボタンは持続可能なコミュニティを維持するための素晴らしい解決策だったと言えます。

アメリカに移住したばかりの頃、私はこの土地の女性たちがトイレを使う際の音に対して全く同じ感情を持っていないことに驚きました。隣の個室の中での音が何から何まで聞こえてしまうんです。このカルチャーショックについて、これまで話す機会がありませんでした。その夜、彼がシェアしてくれた話のおかげで、昔の記憶が蘇ってきました。私たちは皆、時折、まったく新しい状況に直面します。そして、そんな瞬間を通して得た経験は、後々笑い話になります。心を開いて共有できれば、そんな瞬間はかけがえのない宝物になることでしょう。



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