20. 日米の違い その2 【コラム:異文化の海を泳ぐ】

以前このタイトルで日本とアメリカで違うものを紹介しましたが、今回はその続きです。先日知人と食事の場での会話で新聞紙面に関する話題が出てきた時、こちらの紙面と日本の紙面との違いを改めて認識しました。ご承知のように米国の新聞紙面は一つの記事が同一ページで終わらず、続きは別ページに飛ぶことがあたりまえです。しかし日本の新聞は一つの記事は同一ページに収まっているのが普通なので米国に来た当初、その違いに戸惑ったのを良く覚えています。

これに関連して昔読んで大変感動した小説に触れてみたいと思います。この小説は未だパソコンなんてまったく存在せず、コンピューターと言えば人間様より環境の良い部屋に鎮座していた所謂メインフレームが主流だった1980年代に日本のある新聞社が新聞紙面作りのコンピューター化を始めた時の実小説です。彼らはこの開発を当時巨人と言われた世界最大のコンピューター会社に依頼しました。それを受けて日本法人担当者が親会社のエンジニア―等に依頼主からの要望を伝えた所、最初は一蹴されたといいます。曰く、そんな要望は(米国では)聞いた事がない、米国式でやればもっと簡単なのに何故手間の余計に掛かる方法をする必要があるんだと。当時多くの米系企業が日本市場に参入しましたが、成功したのはほんの一握りでした。

これは私見ですが、当時のアメリカ事業は彼らのパターンを日本の市場に押し付けようとし、日本市場の独自性をあまり考えなかった為であると思います。リンゴ等の農産物、ビーフ等の食料品、左ハンドルの自動車をそのまま日本市場に持ち込もうとした事等、事例を挙げればきりがありません。そんな中でこのケースは異例だったと言えます。日本担当者は粘り強くこの日本独特の要望を説得し続け、ついに親会社に開発を認めさせました。のちに親会社をして、「このプログラムはアポロ計画に匹敵する大プロジェクトになった」と言わしめたものですが見事成功し、今でもこの新聞社の基幹システムとして健在との事です。この話題で申し上げたかった事は文化の違いはあらゆる所で見られるが、これらの違いを単に否定するだけではなくお互いがそれぞれを認め合い、受け入れていく事が大事だという事です。

文化の違いついでにもう一つ日本とアメリカで違うものをご紹介しましょう。それは多くの法律が州によって異なる事です。例を挙げれば雇用法です。従業員を雇用する上で考慮を必要とする各種要件が州によって異なるので、複数州に展開する企業ではこれらをすべて考慮した上で対処する必要があります。日本では大多数の法律は政府によって決められどこに行っても基本的に同じ法律が適用されるのとは大きな違いです。しかし、この国では州の力が強く、内政面ではほとんど独立していると言えるでしょう。新たに米国進出した企業担当者が直面する戸惑いに一つであると思います。

これは既に皆様ご承知のごとく、米国の生い立ちに起因しています。米国の正式名称に見られるように元々独立して作られた州がある時まとまってできたのがアメリカ合衆国です。従い、各種制度、特に内政に関しては州政府の力が強く、仮に連邦法があっても州ごとに独自の制度を追加しているのが実態です。

ではこの辺で筆をおく事とし、次回又お目にかかりましょう。

* この記事はデトロイト日本商工会の会報「Views」に2024年7月に掲載されたものです。

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