2025年1月30日 セクハラ問題と企業責任:問題が起きた時、企業はどう動くべきか
日本のセクハラ問題⇒会見を40分だけ見た。
1月28日の記者会見を40分だけ見ました。友人から「見てますか?」と電話があり、慌ててTVを付けましたが、すでに20分も過ぎていました。
たった40分しか見ていないので批判も何もありませんが、25年間、「職場におけるハラスメント防止」の講師をしてきた私には、この会見は中身が無いように思えました。すぐに役立たせるために取り上げたいと思います。
(1)この会見の一番の問題は、被害者保護の名目の下に、「何が起きたのか」の明確な説明が無かったことです。これだけの記者会見を開くなら、加害者、被害者、目撃者、関係者の全てから話を聞き、事件の全容を明確にしなくてはなりません。「何が起きたのか」は最も重要な事です。
被害者が嫌がっても、全容解明のためには述べなくてはいけない事もある、と伝えて、名前、年齢などは伏せることを約束すれば良いのです。この問題を「女性問題」としか知らない私は、記者会見の一部を見ても、相変わらず何が起きたのか、不明でした。
(2)社長を含む責任者の言葉⇒「事件を知らされていた」は、「知らされていたのに迅速な対応をしなかった」となり、問題を放置した事になります。直属の上司も、部署の長も、会社のトップも同様です。フジTV社長は、「被害者保護のために限られた人以外には箝口令を敷いた」そうですが、「限られた人」が、社内の問題解決担当窓口や第三者委員会でないなら、それは「もみ消し」を計ったことになりかねません。
逆に「私は事件を知らなかった」も問題です。
知るべき立場にいるのに、「知らなかった」は職務の怠慢になり、責任を逃れる言い訳にはなりません。1月28日づけの朝日新聞によれば、一般社員からも社長などの責任を問う声があがったそうですが、今まで見て見ぬふりをしていた周囲の人間も同罪です。
(3)この問題は社長宅のホームパーティやホテル内で起きたようですが、社員が企画し、出席をうながし、同行したのであれば、それは職場での仕事とみなされます。つまり、会社ぐるみの事件となり、裁判になれば、会社は負けます。セクハラは企業のリスクです。
これは会見には直接関係ないのですが、被害者女性は絶対に勝てるのに、なぜ訴えないのか、そこは分かりません。訴えても日本の賠償金は極端に低く、時間がかかるからでしょうか?それとも男尊女卑の封建社会からはじき出される恐怖でしょうか?
2012年、アメリカで起きた、トヨタのセクハラ裁判は、和解に至りましたが、賠償金請求額は212億円、最終和解金は50億円でした。