【失敗しないための幹部職採用プロセス】4部構成シリーズ

日本企業における幹部・役員採用は、長らく新卒一括採用と内部昇進を前提とした人材システムの延長線上で行われてきました。その仕組み自体は、日本企業の競争力を支えてきた重要な基盤でもあります。

しかし一方で、海外事業の拡大や事業構造の転換が進む現在、外部から幹部人材を招聘する局面において、十分に設計されたプロセスを持たないまま意思決定が行われているケースは少なくありません。ポジションの戦略的な意味づけ、期待成果の明確化、評価軸の設計、さらには着任後のオンボーディングに至るまで──本来は一連の経営判断として扱われるべき要素が、分断されたまま進んでしまうことがあります。

対照的に、設備投資や大型プロジェクトであればどうでしょうか。目的を定義し、前提条件を整理し、リスクとリターンを評価したうえで、段階的に意思決定を積み重ねる──多くの企業が当たり前のように実践しています。にもかかわらず、失敗した場合の影響が極めて大きい幹部・役員採用が、いまだに属人的な判断や場当たり的なプロセスで進められてしまうことがある。

このギャップこそが、本連載の出発点です。

本シリーズでは、幹部・役員採用を単なる「人事イベント」ではなく、企業の将来を左右する経営上の重要な意思決定プロセスとして捉え直します。採用の失敗がもたらすリスクや、見過ごされがちな機会損失を可視化したうえで、成功確率を構造的に高めるための考え方と視点を、4回にわたり整理していきます。

具体的には、

  • どのような戦略的プランニングが、採用の成否を最初に分けるのか
  • 「誰を探すか」を曖昧にしたまま進めることが、なぜ失敗確率を高めるのか
  • 選んで終わりではなく、「成果が出る」までを見据えたオンボーディングが、いかに重要か

といった論点を、戦略的プランニング、ターゲット型の選考、着任後のオンボーディングという3つの視点から掘り下げます。

本連載は、海外事業を統括する本社の経営層、そして現地法人の経営を担う方々に、自社の幹部・役員選考のあり方をあらためて見直すための「判断軸」を提供することを目的としています。
幹部採用を“経験と印象”から、“戦略と再現性”へ──その転換のヒントになれば幸いです。

第1回では 、日本企業の幹部・役員採用が、なぜ戦略から切り離されたまま進みやすいのかを構造的に整理します。新卒一括採用と内部昇進を前提とする人材システムが、海外や変革局面でどのような逆機能を起こすのか──。
設備投資では当然行うはずの「目的定義」や「成功条件の明確化」が、幹部採用ではなぜ省略されてしまうのかを対比的に示しながら、次回以降で提示する解決フレームの出発点を明らかにします。



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