コーチングのクライアントと初めて会うとき、まずご自分の経歴と業績を話してくれる人がいます。立派な業績を上げられていて、言葉にはされませんが、誇りを持って仕事をされている様子が窺えます。興味津津となり、
「今日はどんなことについてお話されたいですか?」
と聞くと、少し肩を落とされ、
「自信がないのです」
と、意外な返事が返ってくることがあります。
「自信をもってお仕事をされているとお見受けしますが…? どんな点に自信が持てないのでしょう?」
と質問した後、あれこれ話をするうちに、
「知らないことがたくさんあるんです」という漠然とした不安にたどり着くことがあります。
「知識レベルをご心配されているんですね。同格の人たちの知識レベルは高いのですか?」
「はい。私よりずっと経験も知識もあります」
「では、その方たちにお聞きになったらいかがですか?」
と言うと、すでに顧客に会う前に要点を教えてもらったりしていると言うので、
「それで、いいじゃありませんか」
と、ちょっと乱暴に言い切ってみます。すると、とても居心地が悪そうなのです。おそらく、十分な知識がなければ、立派な上司になれないと思っているのでしょう。ですが、高い知識レベルに自力で到達しようとすると、数年かかってしまうかもしれません。習得したころには、もうその知識は過去のものになっている可能性もあります。ですから、知識の貸し借りができればよいのです。教えあったり、お互いの大事な会議に出て知識面のサポートをしたり。
「社内の人とのネットワークもあるんですね? 社内に存在する知識を借りられますか?」
「はい」
「では、自信をもってお仕事されてください」
と言うと、
「はい、自信あります!」
とおっしゃってくださる人がけっこういます。自分の力だけでやり遂げるのは立派なことですが、スピード感を出すには、お互いに知識を貸し借りするのが早道です。立場が上になればなるほど、お互いの力をレバレッジ(leverage 活用する)することがあなたのパワーになり、会社のためにもなることが多いのです。
関連記事
日本のITに物申す: ソフトウェア・エンジニアの上司は どうあるべきか? / オフライン(リアル)とオンライン同時ハイブリッド開催!2024年12月11日
【スケジュール】18:30 – 開場1...
【幸せになろうよ – Build a more joyful life】理想と行動目標と体感
前回までの「理想」に関する話を読まれて、「そんな手間をかけな...
「非暴力運動」について、根本から学べます!『バイヤード・ラスティンの生涯』ジャクリーン・ハウトマン 他2名著 渋谷弘子訳 ー 書評
自由と平等の民主主義の国・アメリカに黒人差別があることは、...