
シリコンバレーに来てまだ日が浅い人は、この土地でビジネスがどのように行われるかについてのアドバイスに驚かされることがよくあります。ある人からあることを言われたと思ったら、次の人からまったく逆のことを言われるのです。実際、シリコンバレーのビジネスはきわめてユニークでありながら、1つの決まったやり方が存在するわけではありません。多様な考え方やものの見方があって、物事のやり方もきわめて多岐にわたっているのです。誰に聞くかによって成功法則は異なり、Aさんに聞けばXをしなさいと言われ、Bさんに聞けばYをしなさいと言われることでしょう。
シリコンバレーの人から正反対のアドバイスをされる可能性があるトピックには、次のようなトピックがあります。
- 投資家やパートナーになってくれそうな相手に事業計画の詳細を話すに当たって、機密保持契約(NDA)を交わすことはあるのか。“公式”バージョンの答え:NDAへの署名を求めてくるような人は、とんでもなく防衛心が強いか、よほど人を信用しない人だ。多くの人が同意するもうひとつの見解:ビジネスパートナーになってくれそうな相手に詳しい話をする前に、NDAへの署名は求めるべきだ。ただし、双方にかなりの関心があることを確認したうえでNDAの話を持ち出すべきである(あまり早い段階で署名を求めない)。とはいえ、ほとんどの投資家はNDAには署名しないだろう。投資家は、同じようなアイデアをあまりにも多くの人から聞くため、契約で縛られることには消極的である。
- それと関連することだが、スタートアップの事業というのは「隠密モード」で始める(しばらくは計画を内密にしておく)べきなのか。“公式”バージョンの答え:周りの人を巻き込むために、自分のしていることをいろいろな人に話すべきだ。他人とシェアしなければ、関心を集めることもできない。多くの人が同意するもうひとつの見解:誰に何を話すかは、慎重に判断したほうがよい。
- “公式”バージョンの見解:アイデアだけでは価値がない。どのように実行するかが事業の価値を決める。多くの人が同意するもうひとつの見解:ある分野が「ホット」になる頃には、VCの出資を取り付けたスタートアップ企業が多数、その関連アイデアに取り組んでいる可能性が高い。
- 始めた事業が成功しそうにないことが分かった場合はどうすべきか。“公式”バージョンの答え:正しい方向性を見つけるまで何度でも事業転換を図るのが、成功への道である。多くの人が同意するもうひとつの見解:最初の段階でよくよく考えてから事業を立ち上げたほうが、成功街道をまっすぐに突き進める可能性がはるかに高まる。
- 事業を失敗させてもよいのか。“公式”バージョンの答え:よい。失敗から学ぶことができる。多くの人が同意するもうひとつの見解:他人の資金で失敗するほうがよい。
- 人工知能が人間の仕事を奪うと言われているが、本当のところどうなのか。“公式”バージョンの答え:ロボットの召し使いになる日に備えて、心の準備を始めるべきだ。多くの人が同意するもうひとつの見解:ロボットをプログラムできる人になるための準備を始めるべきだ。
* This article originally appeared in Teikoku News.
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